移ろうもの

久しぶりに訪れた店で再会!
久しぶりに訪れた店で再会!

先週、久しぶりに唐津で一夜を過ごした。メンバーは、佐賀で農業を営む武富勝彦さんとカメラマンのSさん。私とSさんは8年近く武富さんを取材し続けていて、いよいよ本にまとめようという段階にきた。その最終章の取材がてら、たまにはのんびり食事でもしようということになったのだ。

 

武富さんは我々のために、魚の美味しいこじゃれた小料理屋を予約してくれていた。そこで武富さんの食養生論を伺う。耳を傾けつつ、この8年間で武富さんの食と健康に対する考え方が著しく変化していることを再認識。180度とは言わないが、100度は方向転換している。なるほど、人は常に変わるのだ。

 

その後、2軒目でカメラマン氏はダウン。武富さんと私は3軒目の寿司屋『海幸』へと足を延ばした。そこで〆のワインを飲みたかったのだ。私はここのセラーが好きだ。町家の食糧貯蔵庫を上手に利用したもので、地下にある。そこで、なんと思い出のリオハを発見!7〜8年前、まだご主人がお元気だった頃(現在は病気療養中と聞く)、すすめてくださった1本だ。なんでも、田崎真也が世界最優秀ソムリエコンクールで優勝した際にブラインドで出されたワインだと伺ったような・・・。

 

あの夜、浮かれて飲んだリオハは残念ながらピークを過ぎていた。お店の方は別のワインをすすめてくださり、リオハは持って帰って構わないとおっしゃってくださった。傍らで武富さんは突っ伏したまま。私は一人、美味しいブルゴーニュと寿司を1貫つまんだ。人は変わる。ワインも変わる。秋が始まったからでもあるまいが、流れた歳月を思わずにはいられない夜だった。