ストーブで小豆を煮る。

先日の大阪出張時に、料理研究家のチエさんにご馳走になった「緑豆乳ぜんざい」
先日の大阪出張時に、料理研究家のチエさんにご馳走になった「緑豆乳ぜんざい」

久しぶりの休日。残念な小雨だけれど、でも、窓外の静かで落ち着いた風情は悪くない。少しずつ、春が空気に混じり始めたようだ。ベランダの手すりに下がる雨の丸い滴が、小刻みに揺れながらきらりと光って連なるのも、春の予感めいてうれしくなる。


仕事を持つ主婦にとって、日曜は、たまった家事を片付け、次の1週間の準備をする日という人は多いだろう。私も久しぶりの休日に、大物の洗濯や新聞整理、掃除、食料品のチェックと買い出し、保存食作り・・・と、しなくてはならないことは山盛りだ。なのに、今日は朝から家人がいないこともあり、また雨という天候も手伝って、家事はそこそこに放りだし、ゆっくり過ごすことにした。


誰気兼ねなく好きなお菓子を食べ、テキトーに昼食をすませ、ソファに寝そべって本を読み散らかす。幸せ!

部屋にはストーブが燃え、その上には、小豆をたっぷり入れた鍋。豆はくつくつと煮えながら、しゅわしゅわと白いアクの泡を出し続ける。それを丁寧にすくいながら、ぜんざいにしようか、お汁粉か、いやいや白玉小豆も美味しそう、と悩む。なんて幸せ!


私はストーブの火が好きだ。赤く燃える芯を見ているのは飽きないし、なぜか安心する。その上、豆や芋を美味しく煮込んでくれて、その香りが部屋に充満すると「冬の幸せ」を実感する。シュンシュンと微かな音をたてるヤカンに耳を傾けるのも、心が無になってリラックスできる。


最近はエネルギーを電化することが主流だ。今日の朝刊に、スマートメーター(次世代電力計)の準備が着々と進んでいるという記事が掲載されていたけれど、ここには家庭エネルギーのオール電化が前提にある。確かに、明かりは行灯よりも電灯の方がいいが、料理にはガスの火力がいいし、灯油や薪ストーブの五感に働きかける癒し効果は格別だ。災害時を考えても、エネルギー源は複数ある方が安心だと思うが。


スマートメーター導入で消費電力を見える化すれば、「冷蔵庫の開閉を減らしたからこれだけ節電できた」といった具合に省エネを促す効果が期待できるという。「つけるだけダイエット」の効能を考えれば(!?)これは一定の成果をあげそうな気もする。しかし、待てよ。もう少し、五感を働かそうよ。頭使おうよ・・・そんな気持ちになるのは、私が旧式だからなのね、きっと。