この1カ月と半分

4月10日頃の吉野/中千本
4月10日頃の吉野/中千本

前回のブログから今日まで、気づくと随分日が過ぎてしまった。そしてその間、個人的にも社会にも、正面から受け止めることが非常に辛く苦しい出来事が起きた。東日本・関東地区で震災の被害に遭われた方々には、心よりお見舞い申し上げたい。そして、今なお続く厳しい状況に耐えている方々に対しては、何をすればささやかな力になれるのだろうと考える。しかし、私が私の手段を見つけるには、もう少し時間がかかりそうだ。

 

それでも季節は移ろう。世の中は無常だ。目の前の景色も、今や新緑の生命力がみなぎって息苦しい。若葉に照り返す日射しが目に痛いほどだ。数週間前までは、春の気配も微かに感じられるばかりだったというのに。私もこのぼんやりと霞がかかった意識から、そろそろ目覚めなくてはいけない・・・とは、思うのだが。

 

4月上旬に吉野を訪れた。今年は寒さの影響で開花は遅れていたが、それでも数十本、見事な花を誇る木々があった。しだれ桜に寄り添えば、身がすっぽりと花に包まれる贅沢。見上げると織りなす花梢の天蓋のなんと美しいこと!格別なのは、行方も知らず風に舞う桜のひとひらであった。

 

その日、西行庵がある奥千本に開花の兆しは全くなかったが、今頃は満開だろうか。それとももう散ったろうか。

  いざ今年散れと桜を語らはむ 

    なかなかさらば風や惜しむと